brance beansー痛い過去と新しい今へー

主人公ノブちゃんが痛い過去と向き合い今を創造していく過程です。本当は面倒くさい人間なのを、隠すのではなくて公開して向き合っていこうという企画です。

「こわい人として生きよう」と決意したら楽になった話

以前、塾で働いていた頃、誰から頼まれたわけでもないのですが、私は勝手に自分自身を「穏やかで優しい人」だと思い込んでいました。他人から見てそれがどう見えていたかは全く別問題ですが、私は自分をそのような人間だと信じて疑わなかったのです。ですから「演じている」という意識もありませんでした。

 

でもある日突如として、大勢の生徒が集まるイベントの日に、あるきっかけがあり、全く別人のように、全生徒30人くらいが凍りつくようなドスのきいた声で「動くな!」と叫び、男女ともに全員へ緊張を走らせたのです。その後、「誰からも注意されないからって調子に乗ってんじゃねぇぞ」とか言ったと記憶しています。まるで自分が自分に言っているかのような言葉。その後はもういかに穏やかにしていようとも、そこにいた生徒と心がつながることはありませんでした。

 

こんな話は、自分でもすっかり忘れていたのですが、自分で仕事をするようになった今、あの「動くな!」と叫んだほうのドスのきいた声の自分が、本来であったとわかりました。実は私はあまり穏やかではないし、仕事が小気味良く進まないことを心から嫌う性格だったのです。それは1人でやってみてわかりました。かつては我慢して(見ないふりをして)暮らしていたために、突然におそろしいキャラクターを展開させ周囲をびっくりさせる結果となってしまったのです。当時のことは大変反省しています。本来の自分で生きていなくてすみませんでした。

 

また、最近、あるところで、「本音」の応対を受けるという、学びをしています。・・・抽象的な表現なのですが、私がこれまで気遣ってきたもの、無理やり、またはいいかげんに合わせてきたものというのは、まったく無意味であったのだとわかる機会がありました。現実の中で、人と違和感があっても、「何も言われないからいいかぁ・・・」という基準で、そこにそのまま存在しているのがかつての私なのでした。これが大きなしくじりだったのです。人が何も言わないのは、「常識だから」「何か言って反論されたら面倒だから」「適当に合わせているから」なのであって、私に対して何も思っていないわけではない。さらにいえば、信じられないくらいに酷いことを思っているのに何も言わないことだってあるのです。どうせそうなのであれば、最初から私はわたしの本性を晒して生きたほうがいいに決まっているわけです。

 

以上のことから、「こわいほうの人」として生きることに対し、やぶさかでなくなりました。いちいち反応がなかったりしても、その意味を考えたり、では自分はどうするかを考えたりはしますが、「ダメな人間なんだ」と傷つくことはなくりました。

 

「先生に怒られないように」生きてきた私が、「怒る側の先生」になりました話です。

 

ながお のぶこ