犬が星になりました
約20年間実家に居た室内犬が息を引き取った。父方の伯母の家で飼いきれなくなったのを長尾家で預かったとき、私はまだ17歳かそこらの女子高生だった。
最初のうちは父方の祖母が中心となり犬を育てていたが、その祖母は早々と認知症を発症し父の運営する施設へ。それが私が25歳くらいの頃。その頃まだ私は大学を出て、フラフラするという目的を果たすために東京に残っている。(正確には神奈川)
サターンリターンと呼ばれる29歳のとき、まんまと私は実家である青森に引き返し、犬はまだ元気で実家に住んでいた。結局、母が主餌をあげているので、母に一番なついていた。
そして私が35歳のいま、家族に見守られながら息を引き取った。
私は「死」ということが、存在することはわかっているけど、それ以外は「死」についてなにもわかっていない。
死んだらどうなるのか。どうして生まれてくるのか。どうして死ぬのか。生き物のしくみ。
「死」が存在するということだけがわかっている。犬は今日保健所に引き取られて骨になる。まだ、肉も毛も目玉もついたまま、毛布にくるまれて横になっている。お腹をなでていると、一週間前のように、ひょっこり動き出しそうだ。
でもやっぱり死んでしまったものは、見た目は同じでも息をしておらず、動き出しもせず、声も出さない。
ながお のぶこ